韓国料理に欠かせないニンニク。韓国の神話「檀君神話」にもニンニク(韓国語でマヌル)が登場するようで韓国人との縁も深いようです。
🧄マヌルとは?マヌルの語源は?
ニンニクは韓国語でマヌル(마늘)といいますが、その語源はモンゴル語のmanggir(マンキル)からggが抜けて、manir(マニル:마닐)になり、マヌルになったという説があるようです。
🧄韓国のニンニクの栽培規模
栽培面積
韓国統計庁によると、2020年時点でのニンニクの栽培面積は25,376haです。2000年が44,941haでしたので、かなり減っています。
年 | 栽培面積(ha) |
---|---|
2000 | 44,941 |
2020 | 25,376 |
日本の栽培面積が2,500ha前後ですので、韓国では日本の10倍くらいの広さで育てているようです。たくさん育てていますね。
国 | 栽培面積(ha) |
---|---|
中国 | 800,000くらい |
韓国 | 25,000くらい |
日本 | 2,500くらい |
韓国のニンニクの栽培面積は世界で何位くらい?
近年では、世界第3位から5位ぐらいの栽培面積です。
1位は中国で約80万haなので桁違いです。続いてインドが2位です。ちなみに日本は30位台後半です。
生産量
韓国のニンニクの生産量は、2020年が約36万トンです。日本が約2万トンですので、韓国のニンニクの生育は良好なようです。世界第1位の中国は、なんと約2,000万トンです。
国 | 栽培面積 | 生産量 |
---|---|---|
韓国 | 約25,000ha | 約36万トン |
日本 | 約2,500ha | 約2万トン |
🧄ニンニクの気候区分
ニンニクの気候区分は、日本における寒地系、暖地系と同じように韓国でも、寒地型と暖地型があります。スペインにんにく、中国にんにく、インドにんにくも植えられているようです。
日本の気候区分
日本の寒地系は北海道や青森などで栽培されています。暖地系は関西から九州、四国で栽培されています。寒地系は6片で白色、暖地系は、寒地系よりもりん片が多め、紫がかっているものも多い。
韓国の気候区分
寒地型
寒地型は、秋に植えて育てます。越冬前にはあまり成長せず、春に一気に成長します。6月頃に収穫しています。6片ニンニクが有名。暖地型よりも長期保存がしやすいようです。
主な産地は、忠清北道丹陽郡(タニャン郡)、忠清南道瑞山市(ソサン市)、慶尚北道義城郡(ウィソン郡)です。
暖地型
暖地型は、8月末から9月初旬に植えて育てます。越冬前にある程度成長するため、寒地よりも早く収穫できるようです。長期保存には向かないようです。
主な産地は、慶尚南道南海郡(ナメ郡)、全羅南道高興郡(コフン郡)です。
🧄どの地方で栽培されている?
2020年の主なニンニクの産地(地方)は次の表のとおりで、南部地方での栽培が盛んなようです。
地方 | 栽培面積(ha) | 品種系 |
---|---|---|
慶尚南道 | 6,266 | 暖地 |
全羅南道 | 5,326 | 暖地 |
慶尚北道 | 5,117 | 寒地 |
忠清南道 | 2,810 | 寒地 |
済州道 | 2,122 | 暖地 |
全羅北道 | 976 | 寒地 |
忠清北道 | 780 | 寒地 |
江原道 | 236 | 寒地 |
🧄ニンニクの主な生産地
韓国の主要なニンニクの生産地を地図にしてみました。地図の上のほうが寒地系、下のほうが暖地系の栽培地になります。
慶尚南道のにんにく(暖地型)
慶尚南道は、暖地型ニンニクの栽培地です。昌寧郡は、全国の栽培面積の10%以上を占める最大の産地で、収穫時期が早く価格の中心地にもなるそうです。
- 昌寧郡(チャンニョン郡)
- 陜川郡(ハプチョン郡)
- 南海郡(ナメ郡)
全羅南道のにんにく(暖地型)
海に囲まれている地域です。自然豊かな地域で日照時間が長く、温暖な気候で育ちます。海風を受け、身がしまっており、養分が豊富なのが特徴だそうです。
- 高興郡(コフン郡)
- 務安郡(ムアン郡)
- 新安郡(シナン郡)
- 海南郡(ヘナン郡)
慶尚北道のにんにく(寒地型)
寒地型の生産地です。りん片の大きさが比較的そろっています。甘辛塩味が程よくブレンドされ良い味が期待できます。長期保存ができるようです。
- 義城郡(ウィソン郡)
- 軍威郡(クヌィ郡)
- 永川市(ヨンチョン市)
忠清南道のにんにく(寒地型)
6片が主な特徴。りん片が少ないため、粒が大きめです。寒冷型なので貯蔵性が良いとされています。泰安郡の賈誼島で育てた種球は病気になりづらいと評判です。
- 唐津市(タンジン市)
- 瑞山市(ソサン市)
- 泰安郡(テアン郡)
済州道のにんにく(暖地型)
暖地型のためりん片が多く、辛みがあるようです。比較的早い時期の5月末ころから収穫ができます。
- 済州市(チェジュ市)
- 西帰浦市(ソギポ市)
忠清北道のにんにく(寒地型)
一日の気温の差が大きい地域です。黄土地域が広がっているためニンニクの栽培に適した地域です。味、香り、保存性などが良いと言われています。
- 丹陽郡(タニャン郡)
江原道のにんにく(寒地型)
りん片が6種のニンニク。他の地域よりも、収穫の時期が遅い。品質が良く、貯蔵性が高い。
- 三陟市(サムチョク市)
スペイン系、中国系、インド系
南の地域では、在来種以外の栽培も行われているようです。
🧄ニンニクの種球を栽培する島(寒地型)
忠清南道泰安郡の賈誼島(かぎとう)は、ニンニクの種球をたくさん生産する島です。西海のハワイとも呼ばれている島ですが、高品質のニンニクの種球を育てる種島とも呼ばれています。島の気候や土壌が、種球の生産に適しています。この島で育てたニンニクは、食用にはせず、すべて種球として出荷されています。ニンニク農家の一人は、島で育てた種は、内陸で育てても病気になりにくく、人気があるのだと話していました。島独自の種球を維持するため、島の外からの種球の持ち込みは禁じているそうです。
最後に
韓国料理のレシピで調理しようとすると、どれもこれもニンニクが入っており、まあ、よく使うなぁという印象です。最近では、マヌルパンも話題になっています。韓国で食事をするとき、ニンニクの粒を生でカリッと食べたりもします。こんな感じの食文化なので、ニンニクをたくさん栽培しているのがよくわかります。
地図に記してみたので、韓国内のニンニクの生産地もなんとなくわかりました。今回、調べたおかげで寒地系と暖地系があることも初めて知りました。
今まで、家庭菜園でニンニクを何度も育てています。青森、岩手の人から頂いた青森産ニンニクや岩手産ニンニクなどを庭に撒いてみたり、広島方面の人から別の人を経由して頂いた大きいサイズの無臭ニンニクを育てたこともあります。なんとなく秋に撒いて初夏に収穫するということをやっていましたが、ニンニクにもいろいろあるんだなということがわかりました。
韓国レシピで料理をつくるときにニンニクは必須です。うちでは中国産ニンニクはあまり買わないので、日本の農家さんに頑張ってほしいです。