韓国で最も人気のある食肉の一つが豚肉です。
豚肉は牛肉と比べとても安く食べられるという理由もあり、韓国の食卓を占める割合が高いようです。
肉質が柔らかく、消化が良く、各部位によって異なる旨味や食感を楽しむことができます。タンパク質とビタミンB1が豊富で疲労回復にもつながると言われています。
韓国で人気の豚肉。それぞれの部位を韓国ではどのように呼んでいるのか、どんな特徴があるのか、どんな料理に使われているのかをまとめてみました。
豚肉の部位と呼び方 🐷
豚肉は頭から足まですべての部分を調理でき、部位ごとに味と特徴が少しづつ異なります。
日本人でもよく知られているサムギョプサル、オーギョプサル、カルビのほか、モクサル(肩ロース)、トゥンシム(ロース)、アンシム(ヒレ)、アプタリサル(前肢肉)、サテ(すね肉)、トゥイッタリサル(モモ肉)など様々な部位が食材として好まれています。
サムギョプサルは、どこの肉か、どこの部位か、モクサルとの違い
例えば、サムギョプサルは、どこの肉なのか、どこの部位なのか、
わかりやすいように豚の部位がわかる豚のイラストを作りました。
モクサルとサムギョプサルの部位の違いも。
🥩肉の特徴とメニュー
豚肉の主な部位の特徴と良く使われるメニューです。ハングルも書いておきました。
🐷 モクサルとは:肩ロース 韓国語では、목살
モクサルは、肩にあたる部位で、正式名はモクシムサル(목심살)。韓国ではサムギョプサルに次いで最も好まれている部位の一つである。首側に日本で豚トロと呼ばれるハンジョンサル(항정살)がある。霜降りが香ばしいモクサムギョプサル(목삼겹살)、赤身が多く淡白なモクトゥンシン(목등심)のように細かく分類して売られることがある。
タンパク質の量が多く、筋肉の間に脂肪が閉じ込められていて、風味が良く肉質も柔らかい。
豚肉らしい肉質が味わえる。赤みが大部分で脂身が少ない。焼くよりも、じっくり煮込んで食べるのが良い。
スユク、ポッサム、炒め物、チュムルロクなどヤンニョムで食べる料理によく使われる。
キムチチゲ、カレーなどにも使われる。直火で焼いた肉に塩をつけて食べたりもする。
【モクサルが気になるお店】
명랑회관(ミョンナンフェグァン:明朗會館、ソウル市江南区)
육전식당(ユッジョンシクタン:肉曲食堂、ソウル市東大門区など)
숙성도(スクソンド:熟成到、済州道済州市)
🐷 トゥンシムとは :ロース 韓国語では、등심
カルビの上側、背筋に沿って長く形成されたトゥンシムと呼ばれる筋肉を含んだ部位。
豚肉はトゥンシム、アンシム、アプタリ、トゥィッタリが低脂肪な部位だが、その中でもトゥンシムは最も柔らかく、脂肪が少ない部位。
豚肉の味がしっかりとついているわけではないが、淡白な味が好まれ、低脂肪、高タンパク部位という特徴を有しているため人気がある。
トンカス(とんかつ)用としてよく使われるほか、タンスユク(酢豚)、ステーキ、トンチャプチェ(豚肉の春雨炒め)としても使われる。
カブリサルとは: 韓国語では가브리살
モクサルとトゥンシムの間の部位の肉。1頭からとれるのは300g程度。トゥンシムトッサル、トゥンギョプサルとも呼ばれる。
🐷 アンシムとは:ヒレ 韓国語では、안심
アンシムは、腰の部分の内側に位置する部位で、トゥンシムよりも肉質が柔らかく脂肪がほとんどなく、最上級肉とも呼ばれている。
牛肉よりも安価で、肉の繊維が整っており、脂身がほとんどない赤身で構成されていて淡白。
タンパク質の割合が高く、カロリーが低いため、成人病や肥満ぎみの人に選ばれている。
肉質が柔らかく、チャンジョリム(牛肉の醤油煮)、トンカス(とんかつ)、コチグイ(串焼き)、タンスユク(酢豚)用として使われる。
🐷 カルビとは:カルビ 韓国語では、갈비
カルビは第1肋骨から第5肋骨あたりまでの部位のことをいう。
肉汁が豊富で肉の香りも濃く、脂肪が多く、味もよく、肉質もやわらかい。
特に骨からにじみ出る骨汁は風味がよく、骨の付近をかじって食べる楽しさがある。
主にヤンニョム(合わせ調味料)などをかけて焼肉用として使われている。
カルビチム(カルビの煮込み)にも使われる。
カルビサルとは:骨なしカルビ 韓国語では、갈비살
カルビの部位から骨を取り除いた肉だけの部分をカルビサルと呼ぶ。
マーブリング(霜降り)が美しく、肉質も柔らかい。
炒め物やトッカルビ(餅カルビ:粗びきハンバーグ)の材料となる。
※ トッは、餅のこと。
🐷 アプタリサルとは:前肢肉 韓国語では、앞다리살
前足からサテ(すね肉)を分離し残った部分をアプタリサルという。
他の部位よりも運動量が多いため肉の筋が多少堅く、色も濃い、肉質は柔らかく、肉汁も豊富で、噛みごこちやコクがある。脂肪量は少なく、タンパク質の含有量が高く、食材として重宝されている。
他の部位より、価格が安く、肉の加工品やプルコギ、鍋、スープに使わてれいる。
※ アプは、前。タリは、肢。
🐷 サテとは:すね肉 韓国語では、사태
サテは、下腿骨の周りの部位で、運動量が多いため、筋肉質が多く、肉色が濃く、繊維も硬い。
タンパク質と肉汁が豊富で脂分がなく、たんぱくでありながら味わいがある。
硬めの食感を好む人が多い。主に煮つけ、鍋、スユク、ポッサムに使われる。
🐷 サムギョプサルとは:サムギョプサル、三枚肉 韓国語では、삼겹살
サムギョプサルは、韓国人が好む豚肉の第1位といえるほど最も消費量が多い部位。
カルビの下の部分から下腹部まで赤身と脂身が4層に形成されている部分をいう。
脂肪と赤みが交互についていて、味わいが濃くカロリーも高めだ。
主に焼き肉、プルコギ、チョリム(煮込み)、ベーコン、ひき肉として使われる。
サムギョプサルという呼び方は、2000年代に入り日本でもよく知られるようになった。
サム (삼) は3という意味、ギョプ(겹)は重なるという意味、サル(살)は肉という意味。
サムギョプサル は、3つの層の肉という意味。
4層なのに、なぜ、3(삼:サム) なのかについては、
4=사(サ)が死を意味するから避けた等の諸説があり不明。
1930年代は세겹살(セーギョプサル=3層肉、※セーも3という意味)、삼층저육(サムチュンチョユク:三層猪肉)などと呼ばれ、1950年代末にサムギョプサルという名前が新聞に掲載された。辞書に登載されたのが1994年と言われている。
韓国にはサムギョプサルを提供する焼肉店が数多く存在する。
清州の西門市場には、サムギョプサルの焼肉店が並んだサムギョプサルコリ(サムギョプサル通り)がある。
ちなみに、3という数字を重ねた3月3日は、サムギョプサルDAY。
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近所の肉屋さんで 厚さ 2.5センチに切ってもらったサムギョプサルを買って、焼いてみる
日本のスーパー(スーパーマーケット)では、豚バラ、ばら肉として売られているが、薄切りされているものが多い。
カルメギサルとは:ハラミ 韓国語では、갈매기살
カルメギサルは、横隔膜の周りについており、呼吸運動を助ける筋肉でできている。豚1頭に200g程度という貴重な部位。肋骨で形成されるがサムギョプサルに属する。
脂分が少なく柔らかいが、筋肉質なため噛み心地がよい。
トゥンカルビサルとは:バックリブ 韓国語では、등갈비살
肋骨まわりのトゥンカルビサルは肉汁と香ばしさがあり、主に直火で食される。
オーギョプサルとは:オーギョプサル、五枚肉 韓国語では、오겹살
オーギョプサル は、サムギョプサルにコプテギ(껍데기:皮)の部分を含んだ5層(オーギョプ)の呼び方。皮のコリコリ感を楽しむことができる。オーギョプサルを提供する焼肉店も多い。
※ 5をオーという。
🐷 トゥイッタリサルとは:後肢肉、モモ肉 韓国語では、뒷다리살
トゥイッタリサル (後足肉)は、お尻の部分のため、ポルギッサル(볼깃살)ともいわれる。
肉質が厚く、脂身が少ない。
1頭からたくさんとれる部位のため価格は安いが、アンシムに次いでビタミンB1が豊富に含まれ栄養価が高い。
主にハム、ソーセージ、肉加工品として使用される。料理では、ポッサム(茹で豚)や煮つけに使われる。
※ トゥイは、後。タリは、肢。
🥩ホルモンの部位は?
ホルモン、コプチャンの部位の韓国語でどのような名前で呼ぶか。
まとめ
サムギョプサルなど豚肉の部位の名前を聞いたことがあっても、あまり注目しなかった方も多いのではないでしょうか。
韓国の街を見渡せば豚料理を提供する飲食店が多く、訪問した際には豚肉を食べる機会もあることでしょう。🐷の焼肉はとても美味しいですしね。
カタカナとハングルで表記しているので、お店を決めるとき、メニューを見たとき、店員さんの説明を聞き取るとき等の助けになると思います。
今後、旅行等で韓国に滞在した際の参考にしていただければと思います。